(趣旨)
第一条 この法律は、世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することが我が国の直面する重要な課題であることに鑑み、社会保障制度の改革とともに不断に行政改革を推進することに一段と注力しつつ経済状況を好転させることを条件として行う税制の抜本的な改革の一環として、社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から消費税の使途の明確化及び税率の引上げを行うため、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)の一部を改正するとともに、その他の税制の抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置について定めるものとする。
(税制に関する抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置)
第七条 第二条及び第三条の規定により講じられる措置のほか、政府は、所得税法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第十三号)附則第百四条第一項及び第三項に基づく平成二十四年二月十七日に閣議において決定された社会保障・税一体改革大綱に記載された消費課税、個人所得課税、法人課税、資産課税その他の国と地方を通じた税制に関する抜本的な改革及び関連する諸施策について、次に定める基本的方向性によりそれらの具体化に向けてそれぞれ検討し、それぞれの結果に基づき速やかに必要な措置を講じなければならない。
一 消費課税については、消費税率(地方消費税率を含む。以下この号において同じ。)の引上げを踏まえて、次に定めるとおり検討すること。
イ 低所得者に配慮する観点から、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号。第六号において「番号法」という。)による行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する制度(次号ニ(3)及び第六号において「番号制度」という。)の本格的な稼動及び定着を前提に、関連する社会保障制度の見直し及び所得控除の抜本的な整理と併せて、総合合算制度(医療、介護、保育等に関する自己負担の合計額に一定の上限を設ける仕組みその他これに準ずるものをいう。)、給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組みその他これに準ずるものをいう。)等の施策の導入について、所得の把握、資産の把握の問題、執行面での対応の可能性等を含め様々な角度から総合的に検討する。
ロ 低所得者に配慮する観点から、複数税率の導入について、財源の問題、対象範囲の限定、中小事業者の事務負担等を含め様々な角度から総合的に検討する。
ハ 第二条の規定の施行からイ及びロの検討の結果に基づき導入する施策の実現までの間の暫定的及び臨時的な措置として、社会保障の機能強化との関係も踏まえつつ、対象範囲、基準となる所得の考え方、財源の問題、執行面での対応の可能性等について検討を行い、簡素な給付措置を実施する。
ニ 消費税の簡易課税制度の仕入れに係る概算的な控除率については、今後、更なる実態調査を行い、その結果も踏まえた上で、その水準について必要な見直しを行う。
ホ 消費税率が段階的に引き上げられることも踏まえ、消費税(地方消費税を含む。以下ホからトまで及びヌにおいて同じ。)の円滑かつ適正な転嫁に支障が生ずることのないよう、事業者の実態を十分に把握し、次に定める取組を含め、より徹底した対策を講ずる。
(1)消費税の円滑かつ適正な転嫁に資するため、事業者等が消費税の転嫁及び価格表示等に関して行う行為についての指針を策定し、その周知徹底を図り、相談等を行うこと。
(2)中小事業者向けに相談の場を設置するとともに、講習会の開催等を行うこと。
(3)取引上の優越的な地位を利用して下請事業者等からの消費税の転嫁の要請を一方的に拒否すること等の不公正な取引の取締り及び監視の強化を行うこと。
(4)競争を実質的に制限することにより対価を不当に引き上げる行為を抑止するための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の厳正な運用及び便乗値上げ防止のための調査、監督及び指導を行うこと。
(5)適正な転嫁等への取組を効果的に推進する観点から、関係行政機関の相互の緊密な連携を確保し、総合的に対策を推進するための本部を内閣に設置すること。
(6)消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律及び下請代金支払遅延等防止法(昭和三十一年法律第百二十号)の特例に係る必要な法制上の措置を講ずること。
ヘ 取引に際しての価格表示と消費税との関係については、外税(消費税を含めた価格を表示しない価格表示の方法をいう。)、内税(消費税を含めた価格を表示する価格表示の方法をいう。)等に係る様々な議論を勘案しつつ、事業者間取引、相対取引等におけるその表示の在り方を含め、引き続き、実態を踏まえつつ、様々な角度から検討する。
ト 医療機関等における高額の投資に係る消費税の負担に関し、新たに一定の基準に該当するものに対し区分して措置を講ずることを検討し、医療機関等の仕入れに係る消費税については、診療報酬等の医療保険制度において手当をすることとし、医療機関等の消費税の負担について、厚生労働省において定期的に検証を行う場を設けることとするとともに、医療に係る消費税の課税の在り方については、引き続き検討する。
チ 住宅の取得については、取引価額が高額であること等から、消費税率の引上げの前後における駆け込み需要及びその反動等による影響が大きいことを踏まえ、一時の税負担の増加による影響を平準化し、及び緩和する観点から、住宅の取得に係る必要な措置について財源も含め総合的に検討する。
リ 消費税及び地方消費税の賦課徴収に関する地方公共団体の役割を拡大するため、当面、現行の制度の下でも可能な納税に関する相談を伴う収受等の取組を進めた上で、地方公共団体における体制の整備状況等を見極めつつ、消費税を含む税制の抜本的な改革を行う時期を目途に、消費税及び地方消費税の申告を地方公共団体に対して行うことを可能とする制度の導入等について、実務上の問題点を十分に整理して、検討する。
ヌ 酒税、たばこ税及び石油関係諸税については、個別間接税を含む価格に消費税が課されることが国際的に共通する原則であることを踏まえ、国及び地方の財政状況、課税対象となる品目をめぐる環境の変化、国民生活への影響等を勘案しつつ、引き続き検討する。
ル 酒税については、類似する酒類間の税負担の公平性の観点も踏まえ、消費税率の引上げに併せて見直しを行う方向で検討する。
ヲ 森林吸収源対策(森林等による温室効果ガスの吸収作用の保全等のための対策をいう。)及び地方の地球温暖化対策に関する財源確保について検討する。
ワ 燃料課税については、地球温暖化対策等の観点から当分の間税率(租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則の規定に基づく特例による税率をいう。)が維持されていること及び平成二十四年度以降において石油石炭税の税率の上乗せを行うこととしたことも踏まえ、引き続き検討する。
カ 自動車取得税及び自動車重量税については、国及び地方を通じた関連税制の在り方の見直しを行い、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ、簡素化、負担の軽減及びグリーン化(環境への負荷の低減に資するための施策をいう。)の観点から、見直しを行う。
ヨ 印紙税については、建設工事の請負に関する契約書、不動産の譲渡に関する契約書及び金銭又は有価証券の受取書について負担の軽減を検討する。
二 個人所得課税については、次に定めるとおり検討すること。
イ 金融所得課税については、平成二十六年一月から所得税並びに個人の道府県民税及び市町村民税(ニにおいて「個人住民税」という。)をあわせて百分の二十の税率が適用されることを踏まえ、その前提の下、平成二十四年度中に公社債等に対する課税方式の変更及び損益通算の範囲の拡大を検討する。
ロ 給与所得控除については、給与所得者の必要経費に比して過大となっていないかどうか等の観点から、実態を踏まえつつ、今後、その在り方について検討する。
ハ 年金課税の在り方については、年金の給付水準や負担の在り方など今後の年金制度改革の方向性も踏まえつつ、見直しを行う。
ニ 個人住民税については、地域社会の費用を住民がその能力に応じて広く負担を分かち合うという個人住民税の基本的性格((2)において「地域社会の会費的性格」という。)を踏まえ、次に定める基本的方向性により検討する。
(1)税率構造については、応益性の明確化、税源の偏在性の縮小及び税収の安定性の向上の観点から、平成十九年度に所得割の税率を比例税率(一の率によって定められる税率をいう。以下(1)において同じ。)とした経緯を踏まえ、比例税率を維持することを基本とする。
(2)諸控除の見直しについては、地域社会の会費的性格をより明確化する観点から、個人住民税における所得控除の種類及び金額が所得税における所得控除の種類及び金額の範囲内であること並びに個人住民税における政策的な税額控除が所得税と比較して極めて限定的であることを踏まえるとともに、所得税における諸控除の見直し及び低所得者への影響に留意する。
(3)個人住民税の所得割における所得の発生時期と課税年度の関係の在り方については、番号制度の導入の際に、納税義務者、特別徴収義務者及び地方公共団体の事務負担を踏まえつつ、検討する。
三 法人課税については、平成二十七年度以降において、雇用及び国内投資の拡大の観点から、実効税率の引下げの効果及び主要国との競争上の諸条件等を検証しつつ、その在り方について検討すること。
四 資産課税については、次に定めるとおり検討すること。
イ 事業承継税制(租税特別措置法第七十条の七から第七十条の七の四までの規定に基づく相続税及び贈与税の特例をいう。)について、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年法律第三十三号)に基づく認定の運用状況等を踏まえ、その活用を促進するための方策や課税の一層の適正化を図る措置について検討を行い、相続税の課税ベース(課税標準とされるべきものの範囲をいう。附則第二十一条において同じ。)、税率構造等の見直しの結果に基づき講ぜられる措置の施行に併せて見直しを行う。
ロ 相続税について、老後における扶養の社会化が高齢者の資産の維持に寄与している面もあることも踏まえ、課税方式を始めとした様々な角度から引き続きその在り方を検討する。
五 地方税制については、次に定めるとおり検討すること。
イ 地方法人特別税及び地方法人特別譲与税について、税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置であることを踏まえ、税制の抜本的な改革に併せて抜本的に見直しを行う。
ロ 税制の抜本的な改革による地方消費税の充実と併せて、地方法人課税の在り方を見直すことにより税源の偏在性を是正する方策を講ずることとし、その際には、国と地方の税制全体を通じて幅広く検討する。
六 番号制度については、税務における一層の適正かつ円滑な利用を確保する観点から、番号法及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十五年法律第二十八号)の公布後、納税者の利便の向上、番号法第二条第五項に規定する個人番号及び同条第十五項に規定する法人番号の告知、本人確認の実効性の確保並びに調書の拡充による必要な情報の収集等に関する各種の施策について、納税者及び事業者の事務負担等にも配慮しつつ、引き続き検討すること。
七 国際的な取引に関する課税については、国際的な租税回避の防止、投資交流の促進等の観点から必要に応じて見直すとともに、国際連帯税について国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討すること。
八 年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施すること。
附 則 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十六年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条及び第七条の規定並びに附則第十八条、第二十条及び第二十一条の規定 公布の日
二 第三条の規定及び附則第十五条から第十六条の二までの規定 平成三十一年十月一日
(第三条の規定による消費税法の一部改正に伴う経過措置の原則)
第十五条 この附則に別段の定めがあるものを除き、第三条の規定による改正後の消費税法(次条及び附則第十六条の二において「三十一年新消費税法」という。)の規定は、附則第一条第二号に定める日(以下附則第十六条の二までにおいて「一部施行日」という。)以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等、国内において事業者が行う課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税について適用し、施行日から一部施行日の前日までの間に国内において事業者が行った資産の譲渡等、国内において事業者が行った課税仕入れ及び保税地域から引き取った課税貨物に係る消費税については、なお従前の例による。
(第三条の規定による消費税法の一部改正に伴う税率等に関する経過措置)
第十六条 附則第三条、第十一条及び第十二条の規定は一部施行日前に国内において行った課税資産の譲渡等につき一部施行日以後に三十一年新消費税法第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等をした場合又は二十七年新消費税法第三十九条第一項に規定する領収をすることができなくなった場合について、附則第五条第一項から第五項まで及び第七条第一項の規定は一部施行日前の契約に基づき一部施行日以後に国内において課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れ(消費税法第五条第一項に規定する特定課税仕入れをいう。以下この条及び次条において同じ。)を行う場合について、附則第六条第一項の規定は一部施行日前に行った消費税法第十六条第一項に規定する長期割賦販売等に係る賦払金の支払の期日が一部施行日以後に到来する場合について、附則第八条第一項及び第三項並びに第十四条第一項、第三項及び第四項の規定は同法第十八条第一項の個人事業者又は同法第六十条第二項の規定の適用を受ける国若しくは地方公共団体若しくは同条第三項の規定の適用を受ける法人が一部施行日前に行った課税資産の譲渡等又は課税仕入れの対価の計上の時期が一部施行日以後となる場合について、附則第九条の規定は一部施行日前に国内において行った課税仕入れにつき一部施行日以後に三十一年新消費税法第三十二条第一項に規定する仕入れに係る対価の返還等を受けた場合について、附則第十条の規定は一部施行日前に行った課税仕入れに係る棚卸資産又は保税地域から引き取った課税貨物で棚卸資産に該当するものを一部施行日以後有している場合について、附則第十三条第二項の規定は一部施行日以後に終了する課税期間(みなし課税期間にあっては、その末日が一部施行日以後である当該みなし課税期間)において第三条の規定による改正前の消費税法第二十九条に規定する税率が適用される課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れが行われた場合における同項に規定する申告書について、それぞれ準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げるこれらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
附則第三条
施行日前
施行日から附則第一条第二号に定める日(以下附則第十四条までにおいて「一部施行日」という。)の前日までの間
をいう
をいい、平成二十七年十月一日以後に行った課税資産の譲渡等については、同項第八号の二に規定する特定資産の譲渡等に該当するものを除く
新消費税法
第三条の規定による改正後の消費税法(以下附則第十四条までにおいて「三十一年新消費税法」という。)
附則第五条第一項
施行日前
施行日から一部施行日の前日までの間
施行日以後
一部施行日以後
第二条
第三条
旧消費税法
三十一年旧消費税法
附則第五条第二項
をいう。
をいう。)(以下この項において「特定継続供給役務」という。
施行日
一部施行日
定める課税資産の譲渡等
定める課税資産の譲渡等並びに特定継続供給役務で一部施行日前から継続して提供を受けているものその他の政令で定める特定課税仕入れ(消費税法第五条第一項に規定する特定課税仕入れをいう。以下附則第十四条までにおいて同じ。)
平成二十六年四月三十日
平成三十一年十月三十一日
支払を受ける権利
支払を受ける権利又は支払義務
係る課税資産の譲渡等
係る課税資産の譲渡等又は特定課税仕入れ
旧消費税法
三十一年旧消費税法
附則第五条第三項
平成八年十月一日
平成二十五年十月一日
平成二十五年十月一日
平成三十一年四月一日
指定日
三十一年指定日
施行日
一部施行日
旧消費税法
三十一年旧消費税法
附則第五条第四項及び第五項
平成八年十月一日から指定日
平成二十五年十月一日から三十一年指定日
施行日
一部施行日
旧消費税法
三十一年旧消費税法
、指定日
、三十一年指定日
附則第六条第一項
施行日前
施行日から一部施行日の前日までの間
施行日以後
一部施行日以後
旧消費税法
三十一年旧消費税法
附則第七条第一項
指定日
三十一年指定日
施行日
一部施行日
旧消費税法
三十一年旧消費税法
附則第八条第一項
施行日前
施行日から一部施行日の前日までの間
につき
又は特定課税仕入れにつき
が施行日以後
又は当該特定課税仕入れに係る費用の額を支出した日が一部施行日以後
に係る消費税
又は特定課税仕入れに係る消費税
旧消費税法
三十一年旧消費税法
附則第八条第三項及び第九条
施行日前
施行日から一部施行日の前日までの間
施行日以後
一部施行日以後
新消費税法
三十一年新消費税法
附則第十条第一項、第十一条及び第十二条
新消費税法
三十一年新消費税法
施行日前
施行日から一部施行日の前日までの間
施行日以後
一部施行日以後
附則第十三条第二項
施行日
一部施行日
規定する税率
規定する税率又は附則第十五条から第十六条の二までの規定により三十一年旧消費税法第二十九条に規定する税率
課税資産の譲渡等
課税資産の譲渡等又は特定課税仕入れ
課税標準である金額の合計額」とあるのは「税率の異なるごとに区分した課税標準である金額及びその合計額」と、同法第四十三条第一項第二号中「課税標準額」とあるのは「税率の異なるごとに区分した課税標準額
特定課税仕入れに係る」とあるのは、「特定課税仕入れに係る税率の異なるごとに区分した
附則第十四条第一項
施行日前
施行日から一部施行日の前日までの間
につき
又は特定課税仕入れにつき
が施行日以後
又は当該特定課税仕入れの費用の支払をすべき会計年度の末日が一部施行日以後
に係る
又は特定課税仕入れに係る
旧消費税法
三十一年旧消費税法
附則第十四条第三項
施行日前
施行日から一部施行日の前日までの間
施行日以後
一部施行日以後
新消費税法
三十一年新消費税法
附則第十四条第四項
施行日前
施行日から一部施行日の前日までの間
及び
及び特定課税仕入れ並びに
2(略)
(特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除に関する経過措置)
第十六条の二 三十一年新消費税法第三十八条の二第一項に規定する事業者が、平成二十七年十月一日から一部施行日の前日までの間に国内において行った特定課税仕入れにつき、一部施行日以後に同項に規定する特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、当該特定課税仕入れに係る対価の返還等に係る同条の規定による消費税額の控除については、なお従前の例による。
(消費税率の引上げに当たっての措置)
第十八条 消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において名目の経済成長率で三パーセント程度かつ実質の経済成長率で二パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。
2 税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。
(政令への委任)
第十九条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(所得税に係る措置)
第二十条 所得税については、格差の是正及び所得再分配機能の回復の観点から、最高税率の引上げ等による累進性の強化に係る具体的な措置について検討を加え、その結果に基づき、平成二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずる。
(資産課税に係る措置)
第二十一条 資産課税については、格差の固定化の防止、老後における扶養の社会化の進展への対処等の観点からの相続税の課税ベース、税率構造等の見直し及び高齢者が保有する資産の若年世代への早期移転を促し、消費拡大を通じた経済活性化を図る観点からの贈与税の見直しについて検討を加え、その結果に基づき、平成二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずる。