資産の流動化に関する法律の規定に基づき、特定目的会社の監査報告書に関する規則(平成十年総理府・大蔵省令第九号)の全部を改正する内閣府令を次のように定める。
第一章 総則
(目的)
第一条 この府令は、監査役及び会計監査人(以下「監査人」という。)が資産の流動化に関する法律(以下「法」という。)の規定に基づき行う監査の内容その他必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この府令において、「特定目的会社」又は「会計監査人設置会社」とは、それぞれ法第二条第三項又は第二十一条第二項第二号に規定する特定目的会社又は会計監査人設置会社をいう。
2 この府令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 電磁的記録 法第四条第四項に規定する電磁的記録をいう。
二 計算関係書類 各事業年度に係る計算書類(法第百二条第二項に規定する計算書類をいう。以下同じ。)及びその附属明細書をいう。
三 清算特定目的会社 法第百六十五条に規定する清算特定目的会社をいう。
四 清算事務年度 法第百七十七条第一項に規定する清算事務年度をいう。
(意思疎通)
第三条 監査人は、その職務を適切に遂行するため、次に掲げる者との意思疎通を図り、情報の収集及び監査の環境の整備に努めなければならない。この場合において、取締役又は清算人は、監査人の職務の執行のための必要な体制の整備に留意しなければならない。
一 当該特定目的会社の取締役又は清算人、会計参与及び使用人
二 その他監査人が適切に職務を遂行するに当たり意思疎通を図るべき者
2 前項の規定は、監査人が公正不偏の態度及び独立の立場を保持することができなくなるおそれのある関係の創設及び維持を認めるものと解してはならない。
3 監査人は、その職務の遂行に当たり、必要に応じ、当該特定目的会社の他の監査人、当該特定目的会社の支配社員(特定目的会社の計算に関する規則(平成十八年内閣府令第四十四号)第二条第二項第一号に規定する支配社員をいう。)が会社である場合の当該会社の監査人その他これらに相当する者との意思疎通及び情報の交換を図るよう努めなければならない。
(監査役の調査の対象)
第四条 法第九十条において準用する会社法(平成十七年法律第八十六号)第三百八十四条に規定する内閣府令で定めるものは、電磁的記録その他の資料とする。
第二章 計算関係書類の監査
第一節 通則
第五条 法第百二条第五項及び第六項の規定による監査(事業報告及びその附属明細書に係るものを除く。以下この章において同じ。)については、同章の定めるところによる。
2 前項に規定する監査には、公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第二条第一項に規定する監査のほか、計算関係書類に表示された情報と計算関係書類に表示すべき情報との合致の程度を確かめ、かつ、その結果を利害関係者に伝達するための手続を含むものとする。
第二節 会計監査人設置会社でない特定目的会社における監査
(会計監査人設置会社でない監査役の監査報告の内容)
第六条 監査役(会計監査人設置会社の監査役を除く。以下この節において同じ。)は、計算関係書類を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。
一 監査役の監査の方法及びその内容
二 計算関係書類が法令、資産流動化計画及び定款に従い、当該特定目的会社の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見
三 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由
四 追記情報
五 監査報告を作成した日
2 前項第四号に規定する「追記情報」とは、次に掲げる事項その他の事項のうち、監査役の判断に関して説明を付す必要がある事項又は計算関係書類の内容のうち強調する必要がある事項とする。
一 会計方針の変更
二 重要な偶発事象
三 重要な後発事象
(会計監査人設置会社でない監査役の監査報告の通知期限等)
第七条 特定監査役は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定取締役に対し、各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書についての監査報告の内容を通知しなければならない。
一 当該計算書類の全部を受領した日から四週間を経過した日
二 当該計算書類の附属明細書を受領した日から一週間を経過した日
三 特定取締役及び特定監査役が合意により定めた日があるときは、その日
2 計算関係書類については、特定取締役が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監査役の監査を受けたものとする。
3 前二項に規定する「特定取締役」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者(当該特定目的会社が会計参与設置会社(法第四条第二項第四号に規定する会計参与設置会社をいう。以下同じ。)である場合にあっては、当該各号に定める者及び会計参与)をいう。
一 第一項の規定による通知を受ける者を定めた場合 当該通知を受ける者として定められた者
二 前号に掲げる場合以外の場合 監査を受けるべき計算関係書類の作成に関する職務を行った取締役
4 第一項に規定する「特定監査役」とは、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者とする。
一 二以上の監査役が存する場合において、第一項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監査役を定めたとき 当該通知をすべき監査役として定められた監査役
二 二以上の監査役が存する場合において、第一項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監査役を定めていないとき すべての監査役
三 前二号に掲げる場合以外の場合 監査役
第三節 会計監査人設置会社における監査
(計算関係書類の提供)
第八条 計算関係書類を作成した取締役は、会計監査人に対して計算関係書類を提供しようとするときは、監査役に対しても計算関係書類を提供しなければならない。
(会計監査報告の内容)
第九条 会計監査人は、計算関係書類を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする会計監査報告を作成しなければならない。
一 会計監査人の監査の方法及びその内容
二 計算関係書類が、法令、資産流動化計画及び定款に従い、当該特定目的会社の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見があるときは、次のイからハまでに掲げる意見の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項
イ 無限定適正意見 監査の対象となった計算関係書類が法令、資産流動化計画及び定款に従い、当該計算関係書類に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示していると認められる旨
ロ 除外事項を付した限定付適正意見 監査の対象となった計算関係書類が除外事項を除き、法令、資産流動化計画及び定款に従い、当該計算関係書類に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示していると認められる旨並びに除外事項
ハ 不適正意見 監査の対象となった計算関係書類が不適正である旨及びその理由
三 前号の意見がないときは、その旨及びその理由
四 追記情報
五 会計監査報告を作成した日
2 前項第四号に規定する「追記情報」とは、次に掲げる事項その他の事項のうち、会計監査人の判断に関して説明を付す必要がある事項又は計算関係書類の内容のうち強調する必要がある事項とする。
一 継続企業の前提(特定目的会社の計算に関する規則第五十一条に規定する継続企業の前提をいう。)に関する注記に係る事項
二 会計方針の変更
三 重要な偶発事象
四 重要な後発事象
(会計監査人設置会社の監査役の監査報告の内容)
第十条 会計監査人設置会社の監査役は、計算関係書類及び会計監査報告(次条第三項に規定する場合にあっては、計算関係書類)を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。
一 監査役の監査の方法及びその内容
二 会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及びその理由(次条第三項に規定する場合にあっては、会計監査報告を受領していない旨)
三 重要な後発事象(会計監査報告の内容となっているものを除く。)
四 会計監査人の職務の遂行が適正に実施されることを確保するための体制に関する事項
五 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由
六 監査報告を作成した日
(会計監査報告の通知期限等)
第十一条 会計監査人は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定監査役及び特定取締役に対し、各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書についての会計監査報告の内容を通知しなければならない。
一 当該計算書類の全部を受領した日から四週間を経過した日
二 当該計算書類の附属明細書を受領した日から一週間を経過した日
三 特定取締役、特定監査役及び会計監査人の間で合意により定めた日があるときは、その日
2 計算関係書類については、特定監査役及び特定取締役が前項の規定による会計監査報告の内容の通知を受けた日に、会計監査人の監査を受けたものとする。
3 前項の規定にかかわらず、会計監査人が第一項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による会計監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、計算関係書類については、会計監査人の監査を受けたものとみなす。
4 第一項及び第二項に規定する「特定取締役」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者(当該特定目的会社が会計参与設置会社である場合にあっては、当該各号に定める者及び会計参与)をいう(第十三条において同じ。)
一 第一項の規定による通知を受ける者を定めた場合 当該通知を受ける者として定められた者
二 前号に掲げる場合以外の場合 監査を受けるべき計算関係書類の作成に関する職務を行った取締役
5 第一項及び第二項に規定する「特定監査役」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者とする(以下この節において同じ。)
一 二以上の監査役が存する場合において、第一項の規定による会計監査報告の内容の通知を受ける監査役を定めたとき 当該通知を受ける監査役として定められた監査役
二 二以上の監査役が存する場合において、第一項の規定による会計監査報告の内容の通知を受ける監査役を定めていないとき すべての監査役
三 前二号に掲げる場合以外の場合 監査役
(会計監査人の職務の遂行に関する事項)
第十二条 会計監査人は、前条第一項の規定による特定監査役に対する会計監査報告の内容の通知に際して、当該会計監査人についての次に掲げる事項(当該事項に係る定めがない場合にあっては、当該事項を定めていない旨)を通知しなければならない。ただし、すべての監査役が既に当該事項を知っている場合は、この限りでない。
一 独立性に関する事項その他監査に関する法令及び規程の遵守に関する事項
二 監査、監査に準ずる業務及びこれらに関する業務の契約の受任及び継続の方針に関する事項
三 会計監査人の職務の遂行が適正に行われることを確保するための体制に関するその他の事項
(会計監査人設置会社の監査役の監査報告の通知期限等)
第十三条 会計監査人設置会社の特定監査役は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定取締役及び会計監査人に対し、計算関係書類についての監査報告の内容を通知しなければならない。
一 会計監査報告を受領した日(第十一条第三項に規定する場合にあっては、同項の規定により監査を受けたものとみなされた日)から一週間を経過した日
二 特定取締役及び特定監査役の間で合意により定めた日があるときは、その日
2 計算関係書類については、特定取締役及び会計監査人が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監査役の監査を受けたものとする。
第三章 事業報告の監査
(通則)
第十四条 法第百二条第五項及び第六項の規定による監査(事業報告及びその附属明細書に係るものに限る。)については、この章の定めるところによる。
(監査役の監査報告の内容)
第十五条 監査役は、事業報告及びその附属明細書を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。
一 監査役の監査(計算関係書類に係るものを除く。以下この章において同じ。)の方法及びその内容
二 事業報告及びその附属明細書が法令、資産流動化計画及び定款に従い当該特定目的会社の状況を正しく示しているかどうかについての意見
三 当該特定目的会社の取締役の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令、資産流動化計画若しくは定款に違反する重大な事実があったときは、その事実
四 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由
五 特定目的会社の計算に関する規則第六十二条第二号に規定する事項が事業報告の内容となっているとき又は同令第六十九条第五項第四号に規定する事項が事業報告の附属明細書の内容となっているときは、当該事項についての意見
六 監査報告を作成した日
(監査役の監査報告の通知期限等)
第十六条 特定監査役は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定取締役に対して、監査報告の内容を通知しなければならない。
一 事業報告を受領した日から四週間を経過した日
二 事業報告の附属明細書を受領した日から一週間を経過した日
三 特定取締役及び特定監査役の間で合意した日
2 事業報告及びその附属明細書については、特定取締役が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監査役の監査を受けたものとする。
3 前二項に規定する「特定取締役」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。
一 第一項の規定による通知を受ける者を定めた場合 当該通知を受ける者と定められた者
二 前号に掲げる場合以外の場合 事業報告及びその附属明細書の作成に関する職務を行った取締役
4 第一項に規定する「特定監査役」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者とする。
一 二以上の監査役が存する場合において、第一項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監査役を定めたとき 当該通知をすべき監査役として定められた監査役
二 二以上の監査役が存する場合において、第一項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監査役を定めていないとき すべての監査役
三 前二号に掲げる場合以外の場合 監査役
第四章 計算書類等の承認の特則に関する要件
第十七条 法第百四条第四項(以下この条において「承認特則規定」という。)に規定する内閣府令で定める要件は、次のいずれにも該当することとする。
一 承認特則規定に規定する計算関係書類についての会計監査報告の内容に第九条第一項第二号イに定める事項が含まれていること。
二 前号の会計監査報告に係る監査役の監査報告の内容として会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認める意見がないこと。
三 承認特則規定に規定する計算関係書類が第十一条第三項の規定により監査を受けたものとみなされたものでないこと。
第五章 清算特定目的会社の監査
第十八条 法第百七十七条第二項の規定による監査については、この条の定めるところによる。
2 清算特定目的会社の監査役は、各清算事務年度に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。
一 監査役の監査の方法及びその内容
二 各清算事務年度に係る貸借対照表及びその附属明細書が当該清算特定目的会社の財産の状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見
三 各清算事務年度に係る事務報告及びその附属明細書が法令、資産流動化計画及び定款に従い当該清算特定目的会社の状況を正しく示しているかどうかについての意見
四 清算人の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令、資産流動化計画若しくは定款に違反する重大な事実があったときは、その事実
五 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由
六 監査報告を作成した日
3 特定監査役は、法第百七十七条第一項の貸借対照表及び事務報告の全部を受領した日から四週間を経過した日(特定清算人(次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。以下この条において同じ。)及び特定監査役の間で合意した日がある場合にあっては、当該日)までに、特定清算人に対して、監査報告の内容を通知しなければならない。
一 この項の規定による通知を受ける者を定めた場合 当該通知を受ける者として定められた者
二 前号に掲げる場合以外の場合 法第百七十七条第一項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書の作成に関する職務を行った清算人
4 法第百七十七条第一項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書については、特定清算人が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監査役の監査を受けたものとする。
5 前二項に規定する「特定監査役」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者とする。
一 二以上の監査役が存する場合において、第三項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監査役を定めたとき 当該通知をすべき監査役として定められた監査役
二 二以上の監査役が存する場合において、第三項の規定による監査報告の内容の通知をすべき監査役を定めていないとき すべての監査役
三 前二号に掲げる場合以外の場合 監査役